此処までね続きは ・・・・・『僕の涙がいつか桜の雨になる』についてまとめてみた



ずっと会いたかった初恋の相手。『僕の涙がいつか桜の雨になる
僅 わずかな間、言葉もなく、二人の視線は交差する。栞はその 稀有 けうで美しい瞳を知っていた。桜色の瞳が大きく見開いて彼が何か言いかけた時、見計らったように本鈴が 鳴 なり 響 ひびいた。はっとして彼は後ろを 振 ふり 返 かえる。

「やばい、朝礼が始まる……って、あっ、花が!」

 彼の後ろにはミニバラやシクラメンなどが入った 鉢植 はちうえがごろごろと転がっていた。鉢植えは横に倒れ、土と花が 零 こぼれ出している。少年は急いで倒れた鉢を起こし始めた。その手は 微 かすかに 震 ふるえていた。

「やだ、鉢植えが大変なことに……私も手伝います!」

 栞が手伝おうとしたが、彼は下を向いたまま「近づくな!」と 鋭 するどい声を上げた。

「え、でも、私のせいだし……」

「これは一人でなんとかできるから。それ以上、近づかないで」

 栞を見ずに、少年は冷たく 突 つき 放 はなすように言った。

「あの、でも、一つだけ聞きたいんだけど、あなたってもしかして」

「お願いだからこっちに来ないで。 僕 ぼくにこれ以上話しかけないで……来客用の玄関ならあっちだから、さっさと行ってよ」

 栞の言葉を 遮 さえぎって少年は言う。

 彼の指さす方向を見ると、看板と矢印があった。

 あまりにも冷たい言い方に栞は言葉の続きを 呑 のみ 込 こむしかなかった。彼は下を向いて鉢植えを 黙々 もくもくと片づけていたのでその表情は分からなかった。栞はどうしてこうも突き放されるのか理解できないまま、小さな声で「ありがとう」と言うと、指さされた方向にとぼとぼ歩き始めた。

 絶対に彼だと思ったのに、間違いだったのだろうか。

 栞は心の中でぐるぐると考えていた。栞の知っている彼は誰よりも優しくて人を傷つけるような言い方はしない。でも、あの美しい瞳を見て、人違いだとは思えなかった。

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