特報『「気がつけば、男女の仲に...」男の巧妙な手口に洗脳され、家族にまで見捨てられた32歳女の事情』についてまとめてみた


佐藤の人気を利用し、ほぼ詐欺に等しい巧妙な手口でアクセサリーを入手することもある。周囲男女次々とロマンス訪れていることに焦りを抱いていた時期もあった、大学時代羽田秀吉と交際していて、一度は彼子供っぽい性格と煙(けむ)巻く言動愛想を尽かして一方的フッていた。しかし、自身人質とった誘拐事件を解決した彼を名人戦
300キロバイト (47,129 語) - 2019年9月27日 (金) 00:51



「気がつけば、男女の仲に...」男の巧妙な手口に洗脳され、家族にまで見捨てられた32歳女の事情

東京を歩けば、ポルシェはもちろん、フェラーリ、ランボルギーニなどのスーパーカーといわれる「超」高級車を当たり前のように目にする。

なぜなら世界でも指折りのスーパーカー保有国である日本の、その殆どの車がこの狭い東京に集まっているのだ。

そのスーパーカーの深く低いシートに、サングラスを掛け悠然と座る女たちがいる。

数千万円を超す車のシートに座るのは、いったいどんな女たちなのだろうかー?

(写真:東京カレンダー)
アストンマーチンDB9の女
名前:春香
年齢:32歳
職業:フルーツショップ経営
住居:渋谷区


待ち合わせ場所の表参道のカフェに現れた春香。

女性経営者と聞いて身構えていたが、気取らない雰囲気で人懐っこい笑顔を見せる春香は、経営者というより近所のお姉さん的な女性だった。

彼女は、色鮮やかなフレッシュフルーツのコンポートやドライフルーツなど、国産果物を使用したスタイリッシュな商品を販売する店舗を、複数経営しているという。

「私の実家は国産フルーツを扱う小さなお店なのですが、そこの軒先でフルーツを使ったお菓子やジャムなどを作って販売していた事が始まりです」

そんな彼女の愛車はアストンマーチンDB9。イギリス映画007にボンドカーとして登場する上質な車だという。その映画が大好きで、事業成功の証として手に入れたという。女性でスーパーカーオーナーとは恐れ入った。

「新車は2千万程したのだと思いますが、私のアストンは中古車なんですよ。でも、以前はイタリアのスーパーカーの助手席に乗っていました」

ということは、その車のオーナーが彼女の出資者だったという事だろうか?

「いえ、出資者ではありません。彼は私に1円も支援をしていません、ただ...私は、彼に洗脳されていたのかもしれません」
ある日店に投資家の彼がやってきた
今から4年前、春香は中央区にある実家のフルーツ店で働いていた。小さなお店だったが、上質な国産フルーツを中心に扱っていた。

「ある日、お店に見舞用の果物を購入したいという、30歳半ばくらいの男性がやってきました。彼との出会いが私の運命を変えていきました。大型病院の近くという立地もあって、そのようなお客は珍しくなかったです。その彼はカフスを付けた上質なシャツを着こなし、涼し気な目元に整った顔立ちをしていました」

春香が予算や相手のことをヒアリングすると、見舞う相手から果物を指定された訳ではないことが分かった。

「フレッシュフルーツは見た目や香りは良いのですが、皮を剥くなどの手間や日持ちの問題もあるので、お見舞い品であれば少しずつ食べる事ができるドライフルーツや食べやすいゼリーなどを提案しました」

数時間後、その男性はまたお店に現れ「とても喜んでもらえました」と御礼を言いに来たという。それ以来、彼は贈答品の購入で何度も来店するようになり、店内で世間話をする間柄になっていた。名を宮田といった。

送られてきた封筒に入っていたものとは
「彼は若いのに、投資家で経営相談や研修講師なども引き受けているようだと父から聞きました。クールで素敵な人だなとは思っていましたが、育ちから私とは違う感じで、どちらかというと“憧れの彼”という存在でした」

ある日、春香が近所への配達を終えて店に戻ると、店内に宮田がいた。そして父から「おい、ちょうど昼時だし宮田くんとご飯でも行っておいで」と突然言われ、お互い驚いて顔を見合わせたが、父から半ば強引に外に出されてしまったという。

春香は時間もなかったので馴染の定食屋を訪れた。すると彼は明らかに嫌そうな顔をした。「失敗したかな?」と思っていたが、食べ出すと彼は「なかなか美味しいじゃないか」と言う。しかし、宮田は続けてこう言ったそう。

「“いつもこんな所でご飯を食べているの?おたくのお店は良い商品を扱っているのに、それが使われているような店には行かないのか?”って言うんです。美味しいと言いつつも、その店内で“こんな所”と言う彼には、嫌な印象を抱きました。“そのような店にはあまり行かないです。うちはそんなに余裕はないですから”と答えました」

彼は、「無知な人間が損をし、知識を持つ人間がいつの時代も得をするんだよ」と言い、鼻で笑いながら次のように言ったそう。

「君は前者で終わりたいのか?」
「俺の言う通りに動けば、成功者になれる」

翌日、宮田から分厚い封筒が春香の手元に届いた。翌年に開かれる食品・飲料の大型展示会の資料と、中小企業庁が発行している経営支援や補助金の資料が入っていた。

「こんな大きな展示会、出展料も高いし縁のない世界と思っていたけど、申請すれば専門家から支援を受けたり、出店する為の補助金まで貰えるんだ、と驚きました」
気がつけば男女の仲に
「彼の言い方は気に障るところもありましたが、実際に成功している彼の言葉には説得力もあったため、私はすぐに動き出しました。詳細をネットで調べ、中小企業を支援する機関へ足を運び、専門家からの無料アドバイスを受けながら、事業計画書を作りました」

彼が言うように「知らない者」もしくは「知ろうとしない者」に明るい未来はないのかもしれない。そう思えるほど、春香の起業は順調に進んでいったのだ。

展示会への出店を皮切りに、春香は支援を最大限利用し、特別金利での融資を受けることができた。女性向けのスタイリッシュな商品を扱うのに相応しい渋谷区のある場所に、自分の店と会社を持つ事に成功したそう。実家を仕入先とした事で相乗効果もあり、喜ぶ家族の姿を見られる事も嬉しかった。春香は実家を出て、店に近い場所に住まいを変えた。

「起業後も、彼に相談や報告をしているうちに、気が付けば男女の関係になっていました。彼はイタリアのスーパーカーでいつも私を迎えに来てくれて、そこからドライブに行ったり、勉強になるからと今まで訪れたことがないような高級レストランや海外旅行にも連れて行ってくれました。
私には恋心があったかもしれないですが、彼にあったかどうかはわかりません。今思えば、私を思い通りにコントロールするために付き合っていただけのように感じます」

春香は宮田から引続きアドバイスを受けながら、事業拡大に邁進した。取り扱う商品は瓶詰・ドライ系・冷凍スイーツなど保存が効くものを中心にコストダウンを図り、テイクアウト専門の小型店舗を展開した。加えてネット販売も好調で、女性起業家として成功と富を手に入れるまでに至った。

「事業が軌道に乗ったときに、自分へのご褒美として、憧れていたアストンマーチンを購入しました」

一方、宮田の口調や態度はその後も相変わらずで、事あるごとに春香は次のように言われていた。

「上に立つか下で使われるか」「俺たちはどちらに立つべき人間なのか」
「キミが今のような生活ができているのは誰のおかげだ?」

「そんな話を聞かされ続けた私は、気付けばすっかり彼色に染まっていました」

ある日のこと、春香は久々に父の元を訪れた。時が止まったような古めかしい店が、春香には酷くみすぼらしく見えた。

「私は、改装資金を出すことを提案しましたが、父はこのままでよいと言いました。そして“お前は変わってしまったな。気を付けなさい、成功だけが幸せではないんだよ”と言われました。父のその言葉をすぐに思い返すような出来事が起こりました」
彼の支配から逃れるまで
「軌道に乗っていた事業でしたが、初期メンバーのひとりが突然退職を申し出て来たんです。私の片腕として活躍してくれた大切なスタッフだったので驚きました」

どうやって引き留めたら良いか彼に相談した。

「しかし彼には、『目下の奴が言う事なんて気にするな』『その女は役目が終わっただけだ』と言われただけでした」

その1カ月後、なんと残っていた初期メンバー達が一斉に退職を申し出てきたのだ。

理由を尋ねると「春香さんは、現場のこと何も知らないじゃないですか。そんな人に何を言っても無駄です」と言われる始末。

「スタッフは駒だ」と宮田から聞かされていた春香は、先月辞めてしまった彼女に、スタッフ管理を全て任せていたのだ。しかも彼女は、単にスタッフ管理だけでなく、皆のモチベーションを維持する大切な役割を担っていた。

春香は、彼女が辞めた後のフォローをしていなかったため、スタッフのモチベーションは下がり続け、内部崩壊が起きていたのだ。 結局、一時的に事業を縮小し一部店舗のみの営業にせざるを得なかった。

「事業をスタートさせてから、初めて大きな挫折でした。 売上や事業拡大に注力することが自分の役割とばかり思い込んでいましたが、内部スタッフのフォローも経営において大切なことなのだと気づかされました」

ー宮田のようにスタッフは “使い捨ての駒”だと割り切る事はできない。会ったら、自分の考えを彼に伝えよう。

その日は、会合先にいる彼を車で迎えにいきそのまま彼の自宅に行く約束をしていた。

彼を迎えに行き助手席に乗せて走り出してすぐに、道路の真ん中にうずくまる子猫を見つけ、思わず春香は急ブレーキを踏んだ。

ーあやうく轢いてしまうところだった。

春香は弱っている子猫を拾い車に戻ると、彼はあからさまに嫌な顔をして「そんな汚い猫なんか拾ってくるなよ」と言ったそう。

彼の言う事はこれまでの春香にとって絶対だった。でもスタッフだけでなく、小さな命でさえ平然と切り捨てようとする彼に徐々に怒りが生まれてきた。子猫を抱きながら黙っていると「猫が欲しければ血統書付の猫を買えば良いじゃないか」と宮田はいつもの調子で言い放ったとのこと。

ふと、春香は薄汚れた子猫に自分を重ねる。元々は自分もこうだった。たまたま彼に拾われたようなものなのだ。

「昔のお前だったら野良猫で十分だが、今は違うだろう?そういう女にしたつもりはないぞ」という宮田の一言で春香は目覚めた。出会った時の彼は、家柄も何もない私にも関心を寄せる優しさがあった。でも今の彼にはそんな優しさは微塵もないのだと。

「そもそも私は彼の思い通りになる、ペットのようなものなのだったのかもしれないって気付きました。視界がグラリと歪みましたが、頭の中は一気に霞が取れクリアになりました」

「とにかく今すぐ猫を外に戻せよ。そうでなければ、お前の車にこれ以上乗っていたくない」とため息をつきながら助手席のドアを開け車から彼が降りた。

「そのタイミングで、すかさず私は彼にいってやりました。“私、本当に大事なものを思い出したわ。今まで本当にありがとう。あなたはいつも私に大切な事を教えてくれたわ。私はあなたより、一緒に働いてくれるスタッフ達やこの子猫を大切にしたい”って。

彼は目を見開きこれまでに見た事がない程、驚いた顔をしていて、まるで従順なペットに初めて噛みつかれた時みたいでした」

春香は呆然とする宮田を尻目にアストンのアクセルを床まで踏み込み、その場を立ち去ったという。

「その後、彼とは一度も顔を合わせていません。代わりにその時の猫が今の私のパートナーです」

春香はコーヒーを飲みながら平然と言った。報復があるかもと覚悟したが、1年経った今も何もなく、深く反省した春香の事業は持ち直し、現在は安定しているという。

事業のきっかけを作ってくれた彼には感謝をしているが、そもそも1円も出資してもらった訳ではなかったので、連絡さえ取らなければ彼と交わる事もないのだ。

「あの呆然とした彼の顔は、一生忘れないと思います」

彼女は爽やかな笑顔を見せた。

助手席から卒業し、アストンマーチンを自ら運転する彼女は、支配する男からも卒業した女性起業家だった。

【特報『「気がつけば、男女の仲に...」男の巧妙な手口に洗脳され、家族にまで見捨てられた32歳女の事情』についてまとめてみた】の続きを読む